花蒼枯 はなそうこ

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我花集(わかしゅう)~謳花 アキタのドライフラワー雑記~ vol.1:胡蝶蘭 深堀り調査!

 

前書き

アキタ

こんにちは。謳花のアキタです。
我花集(わかしゅう)~謳花 アキタのドライフラワー雑記~ と題して、日々の作品制作の中で疑問に思ったお花のこと、植物のこと、そして、ドライフラワーのことなどをブログとして掲載していくことにしました。

今回は、祝花として贈られ、放置されてしまった胡蝶蘭を引き取ることになり、改めて「胡蝶蘭のことを見つめなおしてみよう」と思い立って記事にしました。
胡蝶蘭について疑問に思った方の解決の手助けとなれば嬉しい限りです。
前書きが長くなりましたが…それでは、本編にどうぞ!

 

 

 

 

 


突然ですが、質問です。
皆さんは「胡蝶蘭」を贈られた、または、贈った経験はありますか?

 

「お店の新装開店や行事ごとのお祝いの際に目にしたことはあるけど、そういった経験はない」

「贈ったことはあるけど、お花屋さん任せでオーダーしただけ」

「もらったけど、いつの間にか枯れてしまっていた」

おそらく大半の方はこのいずれかにあてはまるのではないかと思います。
どのケースにも共通していることは、「実情、胡蝶蘭についてよくわからない」という方がほとんどなのではないでしょうか。

中には胡蝶蘭が大好き!という、根強い胡蝶蘭マニアの方が自分で育てていて、生態について語れるほど詳しい…と、いうようなレアケースもあるかと思いますが、観葉植物を育てている方の中でも、かなりディープな世界の印象があります。
かくいう私も、恥ずかしながら、胡蝶蘭について深く触れてきませんでした。

そこで、疑問が一つ。

お花の業界にいる人でもよくわからない胡蝶蘭という植物をなぜ、一般的なお祝いで胡蝶蘭を贈るの?
ということです。

この疑問を解決していく中で出てきたお花を贈るという事柄について、触れていこうと思います。
記事の最後には謳花流に枯れてしまった胡蝶蘭を使った作品の制作後記も載せてあります。

ということで、今回は「胡蝶蘭について、深堀り調査!」をテーマにお送りいたします。

 

【そもそも、胡蝶蘭ってなに?】

 

まずは、ここから調べていくことにします。

Wikipediaに載っている情報からかいつまんで説明すると…

  • コチョウラン属Phalaenopsis)は、熱帯域に分布するラン科植物の一群で、幅広い葉を折り重なるように着ける。
    洋ランとして広く栽培されるが、それには属間交配種が混じっている。
  • コチョウラン属は単軸性の着生植物で、分厚い数枚の葉を茎につけ、長い花茎を伸ばして、そこに丸っこい花を多数つけるものがよく知られる。
    和名の
    コチョウランは P. aphrodite に与えられており、この花が蝶に似る事に由来する。
    学名の方は phalaia(蛾)と opsis(似る)を合成したもので、この種によく似た
    ファレノプシス・アマビリス P. amabilis の花が蛾に似ることに由来する。
    英名は 
    Moth orchid と、やはり蛾のランである。
    これらの種に見られるのが一般的なコチョウランのイメージであり、これらの種そのものも、それらに由来する交配品も多く栽培されている。
    しかし、この属には一見ではこれらとはかなり異なる姿のものもある。また、それらにも栽培されている種は数多い。洋ランとしての略称は
    Phal.である。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

…学術的に記述すると頭が痛くなりそうですが、ざっくりと要約するとコチョウラン属というラン科の洋ランの総称ということのようですね。

そして、「着生植物」であるというところが大事なポイントのようです。

 

  • 着生植物(ちゃくせいしょくぶつ)とは、土壌に根を下ろさず、他の木の上、あるいは岩盤などに根を張って生活する植物のこと。

またまた、こちらもwikipediaに載っている情報ではありますが、コチョウランもチランヂア(エアープランツ)のように何かにへばりついている特殊な環境下で生きている植物、ということですね。
着生直物について深堀りしすぎると、話しが飛躍しすぎるため、ここでは割愛します。
もっと知りたい。という方は、着生植物で検索して調べてみてください。

 

そこでさらに調べていくと、胡蝶蘭についての深掘り情報は…

  1. 厳密には根がないのではなく、「気根(きこん)」という着生植物ならではの根を持っている。
  2. 気根は樹木などにくっつくために伸びており、その根自体は空気中の水分を吸っている。
  3. 湿地帯に広く生息域が分布しており、多湿を嫌う。

 

なるほど…

たしかに、胡蝶蘭をじっくり観察したことがある方ならわかると思いますが、胡蝶蘭の鉢植えには、水苔という苔を乾燥させた植え込み材がびっしり敷き詰められています。
土のかわりに乾燥水苔で根回りを覆うことで、根を保護しつつ、水分補給をしているわけですね。

乾燥水苔は水を通すと保水性が高く、苔自体には土ほどの密度もないので、通気性にも優れています。
水苔の乾燥も土よりも早いため、多湿を嫌う胡蝶蘭との相性はとても良いということがわかりました。

【なぜお祝いで胡蝶蘭を贈るの?】

 

胡蝶蘭について、だいぶ理解がすすんだところで、疑問の解決に移りましょう。

結論から述べると…
「見た目から連想される花言葉」
「高級なイメージ」
と、いうような(ざっくりとした)理由が挙げられるようです。

「見た目から連想される花言葉」は胡蝶蘭の名前の由来でもある、胡蝶です。
胡蝶とは、そのままですが、昆虫の蝶の意。そこから派生して、胡蝶蘭の花言葉は「幸せが飛んでくる」だそうです。

余談ですが、蝶は風水では縁起の良い生き物とされているようで、キリスト教ではイエス・キリストの復活を知らせる、とか、亡くなった方が愛を伝えるための化身として蝶の姿で現れる…などなど、調べると世界中で蝶は吉報を運ぶ生き物とされているようです。

次に、「高級そうなイメージ」というのは、元来、日本には生息していなかった外来の植物が明治時代に出回るようになり、その物珍しさや、日本の気候では生息が難しいというような事情から、高級な植物というイメージがついて今日まで贈答品として用いられるようになったとか。(諸説あり)

以上の2点から、胡蝶蘭は古くから日本でお祝いごとの際に贈られる植物となっていったようですね。
調べれば調べるほど、説が多数あるようですので、引き続き胡蝶蘭について調べていくのも面白そうです。

 


 

当初の疑問は、こちらで一旦、無事に解決しました。

が、この胡蝶蘭という植物…ここまで読んでくださった方々ならもうおわかりになったかと思いますが…

「育てるの難しそう」

です。

冒頭で書きましたが、ディープな世界の変わった植物という印象は、調べてみての感想としても間違っていなかったと思います。
つまり、お祝いごとでもらうお花としては、敷居が高い植物なのではないかと思います。

(ここからはアキタの個人的な見解です)


もの珍しいとか、花言葉が良い、というのはあくまで贈る側の想い入れです。
が、もらった側はその想いに反することもあるのかもしれません。
胡蝶蘭マニア!とわかった方に贈るならまだしも、会社宛や開店祝いにいただく方々がそうとは限りません。

仮に誰か(友達や家族、誰でも構いませんが)のお祝いをしようと思い立ったとき、あれやこれやプレゼントをなににしようか…と、考えると思います。
その時、「これは絶対オススメしたい」とか「あの人なら気に入るんじゃないかな?」とか相手のことを想像してから決めますよね。

 

とりあえず、「珍しそうだから」「高級そうだから」という理由だけでプレゼントは選ばないのでは…と、思います。

つまり、贈る側の意思だけで、贈られた方がもらった後に、首をかしげるような手間を押し付けるのはいかがなものかと思うのです。

あえて補足しますが、胡蝶蘭自体を贈答品として贈ることにケチをつける、ということではありません。

胡蝶蘭は生きた植物です。
頂いた方は、せっかくのお祝いの品ですから、大事に育てようと思うはずです。

ですが、前述したように育てるのが難しく、高級というイメージがついた植物を会社のスタッフさんやお店のオーナーさんが事前知識無しに店に飾りながら育てるのはハードルが高いのでは。と思うのです。

枯れたら棄てれば良い、という考えではあまりにも短絡的で解決になっていません。
贈る側も単に、習わしやイメージのみで贈答をするという無責任なことではいけないのではないかと思うのです。
適切に育てられる方に贈る、または、育てていくうえで
サポートができるような園芸店や花屋さんを紹介してアフターフォローをする、など…
贈りっぱなしの現状は変えていかねばならないのではないかと思います。

 

【ドライフラワーインテリアとして活用してみよう】

謳花流の活用術として、残念ながら枯れてしまった胡蝶蘭をベースとして使い、インテリアとして再生を試みました。

まずは、こちらが枯れた胡蝶蘭です。

鉢の中には、例の乾燥水苔が敷き詰められています。
陶器鉢ですが、土も水も含んでいないため軽く、花も全て落ちて茎だけになっています。
3本の茎は写真だとわかりにくいですが、ワイヤーで誘引して形を整えていたようです。
茎はかなり細いですが触ってみた感じだと、ワイヤーのおかけでガッチリと固まっていて強度は高そうです。

これなら、この茎をベースにドライフラワーを飾り付けていけるのでは!?

 

そして、完成したのがこちら

全体像です。
茎自体にオアシスは付けずに、直接花を茎にアレンジメントしてみました。
実験も兼ねていたため、かなりの物量(花にして、10輪)は一茎につけてみましたが折れることはありませんでした。

アップの写真がこちら

明るめのバラや、リシアンサスなどを各所に配置して、葉物を間に敷き詰めて垂れ下がりながら花が咲くイメージをもたせました。

アキタ

ここでアキタのアレンジメントワンポイント。

花や葉物だけではどうしても隙間が生まれてしまい、そこを埋めようとするとギチギチになってしまうので、適度にスモークツリーを入れ込んであげると余白が生まれて良い感じになります。
胡蝶蘭だけでなく、狭い部分へのアレンジメントや、あまり花を入れ込みすぎて、ごちゃごちゃとさせたくない、というときにこのテクニックが有効ですので、ぜひお試しを。

【制作後記】

胡蝶蘭をドライフラワーのインテリアとして、活用してみましたが、感想からすると、細い茎に反して、使いやすかったです。
オアシスなどのベースを付けて、そこにアレンジメントしていくのもできそうなのでそちらも実験してみようと思います。

誰しもがこのように枯れた胡蝶蘭を活用して、アレンジメントができるわけではありませんし、思いつくわけではないことは重々承知の上です。
ですが、枯れたら不要なもの=棄てる、ではなくて、枯れたからこそ、そのフォルムや立ち姿がハッキリとわかる

なんだかその形がとても力強かったり、美しかったり、時には面白かったりする。
こういう風にしたら、枯れても素敵に飾れるんじゃないかな?と想像してみるのも大切なことではないかなと思います。

そして、贈る側も単なるパフォーマンスとして胡蝶蘭を贈るのではなくて、贈った後の実情、もらった側の立場を考えてみる、という意識も大事にしていけたら、より祝花の文化が進んでいくのではないかなと改めて考えさせられる調査となりました。

それでは、また次回の調査でお会いしましょう。

 


調査員

謳花/装花士 アキタ

 

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