前書き
アキタ
こんにちは。
謳花のアキタです。
冷え込む日が増えてきたこの季節…
みなさん、ドライフラワー作ってますか??
夏のジメジメした季節はドライフラワーも湿気を含んで傷みやすいですが、冬場の乾燥シーズンはドライフラワー作りがはかどる季節の到来です。
「大きな植物を乾かしてみたい」という思いで、大型の植物の乾燥にチャレンジしたお話を日記形式でブログにしました。
今回はその前編です。
みなさんのドライフラワー作りの参考となれば幸いです。
ではどうぞ!
【10月某日】
市場をパトロール中。
ドライフラワーにしてみたいお花を物色しているときのこと…ふと、とある植物に出会いました。
さて、なんでしょうか?
植物好き方ならわかる…かも。
正解は、「アロカシア」の葉です。
アロカシアとは…
クワズイモ属 Alocasia は、サトイモ科の植物の1群。サトイモ属に似た植物で、有毒ではあるが、食用とされるものもある。また、観葉植物として栽培されているものの多くある。ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」
クワズイモとは…
クワズイモ(Alocasia odora)は、サトイモ科クワズイモ属の常緑性多年草である。大きなものは傘にして人間も入れるほどの葉を持つ。大きな葉を持つ観葉植物としてもなじまれ、その方面では、学名(属名)の仮名読みでアロカシア(またはアローカシア)ともいわれる。「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」
とのこと。
クワズイモ=アロカシア、ということで間違いなさそうです。
アロカシアというと、
こういった葉の形が特徴ですね。
観葉植物を扱っている雑貨店やお花屋さんで見かけたことがある方もいるのではないでしょうか。
今回入手したアロカシアは、スティングレイという品種です。
スティングレイとは、英名でスティングが針、レイがエイの意だそうです。
直訳して、エイの針…たしかに、尖った葉の先端がエイの針に見えますね。
さて、このアロカシア・スティングレイですが、見ての通りとても大きいです。
丈は100cmほど。
葉の直径は大きいもので、50cm前後もあります。
このサイズ…所有している乾燥機では到底、入らない…
けど、乾かしたい…!さて、どうしたものか。
【10月21日】
ふとしたきっかけで、知り合ったお花屋さん、豊住くん。
聞くところによると、ご実家はガラスの加工業を営んでいるとのこと。
そして、なんと、そのガラス加工の釜を使ってドライフラワーを作っているとのこと!!
窯が乾燥機代わりになるとは思ってもみませんでした。
つまり、大型の「はなそうこくん」では!?
どんな窯なのか気になるので、ダメ元で、豊住くんに連絡をしてみたところ・・・
豊住くんのお返事は…
「アロカシアかっこいいですね。まだ、アカシアやユーカリなどの葉っぱ類しか乾燥機に入れた事がなくアロカシアなどの大きい葉っぱが実際綺麗に乾くか分かりません。それでも、もし大丈夫でしたら是非使いに来てください。」
おお、良いお返事をいただけました!
やってみなきゃわかりません!やってみることに損はない!ぜひチャレンジしましょう!
予定を合わせて、豊住くんのご実家にお伺いさせていただきましょう。
【10月24日】
三日経ちました。
今日は、豊住くんのご実家訪問の日です。
乾燥機に入れる前に全体写真で再度、確認しておきましょう。
アロカシアはまだこの通り、元気ですね。
茎はすっと伸びており、葉は手のひらと比べても、だいぶ大きいです。
問題はこの水々しい茎。
水分をかなり蓄えていそうです。ドライフラワーを作るとき、一番のネックは茎の水分量です。
(※このあと、この嫌な予感が的中することになるとは…)
言われた通りの住所に到着!
看板からも老舗の工場の雰囲気がでています。
中に入ってみると、
豊住くん「どうも!」
アキタ「お世話になります!よろしくお願いいたします!」
アキタ「さっそくなのですが、こちらです。」
豊住くん「おお、変わった形の葉ですね、たしかに大きい。」
アキタ「大丈夫そうですか?」
豊住くん「釜には入りますので大丈夫です、中にどうぞ」
と、入ってみると、
工場を案内してくれる豊住くん。窯が左右にいくつも配置されています。
アキタ「おおお…すごい迫力ですね…!これ全部、釜?ですか?」
豊住くん「そうです。」
想像以上…というよりも、釜というものを見たことがなかったアキタにとっては驚きでしかありませんでした。
工場で作っている大きな曲げガラスもありました。
豊住くん「こんな感じでお花を入れてます。前に作ったユーカリなどの葉物が入ってます。」
アキタ「大きいですね!これなら、アロカシアも入りますね!」
豊住くん「そうですね、さっそく準備しましょう」
(試行錯誤中の豊住くん)
そして…
完成!
相談の結果、寝かして広げるもの、吊るものの2パターン用意してみることにしました。
このような葉物は吊るすと自重で葉がさがり、くしゃくしゃになって割れてしまう可能性があるので葉をできるだけ広げて乾燥させるほうがキレイに乾きそうです。
豊住くん「よし、じゃぁ、スイッチをつけます!」
アキタ「よろしくお願いいたします!」
ここから、豊住くんのご家族も手伝ってくれることに…
(みなさん総出でご協力、ありがとうございました!)
アキタ「…」
豊住くん「温度があがってますね」
アキタ「え?もう?」
(窯の横に設置された温度計)
豊住くん「ここで中の温度がわかります」
アキタ「あ、温度計がついてるんですね、もう100度越え!」
豊住くん「だいたいどれくらいの温度にしますか?」
アキタ「うーん…植物によりますが、いつもこちらの乾燥機では50数度の温風を半日ほど当てていますね」
豊住くん「なるほど…乾燥機とは勝手が違うので窯との比較は難しそうですね…」
豊住くん・父「とりあえず、この100度前後で様子を見よう、ここから中が見えるから見てていいよ」
(窯の覗き穴)
アキタ「おお…熱風が…」
中には熱線が張り巡らされているようで、温度はかなり早くあがっていきます。
このまま、しばらく放置。
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だいたい30分ほど経過し…中を覗いてみると、
豊住くん「覗き穴から見る限り…だいぶ、縮まってきましたね」
アキタ「こんなに早く乾くなんて思わなかった」
豊住くん「一回開けてみましょう」
ということで、温度を落として釜をオープン。
豊住くん「…」
(吊るしたもの)
アキタ「…」
(置いたもの)
二人揃って「茎が…」
豊住くん・父「葉は乾燥しているね。でも、この茎は今日は乾かないだろうなぁ、温度を調節しながら、数日間は様子を見よう」
(葉はパリパリ、茎はシワが寄っている程度でほとんど変化なし)
やはり、茎の水分量問題が出てきました。
茎を無理に乾かそうと長時間高温を維持してしまうと、今度は葉の水分が抜けきって乾燥させていくため、葉が脆くなってしまいます。
最悪、葉がボロボロになるか、熱で葉が焼けてしまいそうです。
アキタ「思ったよりも手間取らせてしまって申し訳ありません…」
豊住くん「いえいえ!またこちらから連絡しますね」
ここからは豊住くんにお任せして、また後日引き取りに伺いましょう。
前編はここまで。
はたして、しっかりと乾くのか…後編に続く!
調査員
謳花/装花士 アキタ